生春巻きやフォーは日本でも人気のベトナム料理。でもそれ以外の料理って…?ベトナム料理には他にも美味しい料理がいっぱい!
今回ご紹介するのはベトナムの揚げ春巻きです。エビやきくらげなど具沢山の春巻きは止まらないおいしさ。絶品レシピだけでなく、作って味わいたくなるようなベトナム料理の豆知識もご紹介します。
ベトナム揚げ春巻きってなに?
ライスペーパーのカリ!ムチ!食感が美味しい
ベトナムの揚げ春巻きは、小麦粉で作った中華風の春巻きと違い、ライスペーパーで巻いて揚げるのが特徴です。
中に入れるタネには、ひき肉以外に、海老、きくらげ、人参、春雨などをたっぷり入れるので、それぞれの食材の食感と旨味が楽しめます。
ライスペーパーは揚げるとカリカリ食感になるのですが、具材の水分を吸った部分はむっちりとして、そのギャップも美味しさの秘密。ベトナムでは、この春巻きをレタスや香草などで包みながら食べることもあり、揚げ物なのにさっぱりと頂けます。
名前はネムザン(Nem rán)もしくはチャーゾー(Chả giò)
ベトナムの揚げ春巻きは、地域で呼び名が違い、北部ではネムザン(Nem rán)、南部ではチャーゾー(Chả giò)と呼ばれます。具材や大きさも違い、北部のネムザン(Nem rán)は、中国の春巻きのような大きさに、南部のチャーゾー(Chả giò)は親指くらいの小さなサイズで海老やカニが入り、レタスや香草に包んで食べることが多いそうです(※1)。
そもそもベトナム料理って?
主食はお米「五味・五彩・二香」を大切にする
フォーなどの麺類が日本ではポピュラーですが、ベトナムの主食は米です。日本のような粘り気のある米とは違い、細長く粘り気の少ないインディカ米が主流で、魚介類・農産物も豊富。
味付けにはヌックマムと呼ばれる魚醤を使用するのが特徴で、五味(塩味・酸味・辛み・甘み・コク)と五彩(黒・赤・緑・白・黄)、二香(良い香・香ばしさ)を一皿に揃えるのが理想的とされています。
様々な国の影響を受けるベトナム料理
東南アジアに位置するベトナムは、地続きのタイや隣接するカンボジア・ミャンマー・中国の影響を受けています。魚醤を使うのは、タイ料理・カンボジア料理・ミャンマー料理と共通するところ。
また、1000年以上続く中国王朝の支配や、フランスの植民支配で中国とヨーロッパ文化の影響が残ります。ベトナム風サンドイッチのバインミーやベトナムコーヒーなどはフランスの植民地支配の名残ともいわれています。
ベトナムの国土は日本のように南北に長く食文化も違う
ベトナムの国土は細長く2つの気候に属しています。北部は亜熱帯気候に属しており、日本に似た四季のある気候、南部はモンスーン気候で雨季と乾季に分かれています。気候が違えば食材や味付けは変わり、ハノイのある北部は素材の味を活かすような味付けで、体を温めるイモ類や火を通した野菜を食べるのが特徴。山と海に挟まれたフエなどの中部は、乾季の酷暑と雨季の水害と、過酷な気候の影響からか、塩気の強く辛い味付けを好みます。ホーチミンのある南部は、年中熱く、ココナッツやトマトといった体を冷やす食べ物が好まれ、味付けは甘めになります。
旅行に行く際は、訪れる地域によって変わる料理を楽しむのも楽しいかもしれません。
ベトナムの春巻きは、生・揚・蒸の3種類ある
様々な国の影響を受け、地域によって料理も変わるベトナム料理ですが、春巻きも1種類ではありません。日本でもお馴染みの「生春巻き」、この記事で取り上げた「揚げ春巻き」、さらに、肉ダネをライスペーパーで巻き蒸し上げる「蒸し春巻き」まであります。
そもそも、ライスペーパー自体が、春巻きを作るための材料ではなく、メキシコのトルティーヤのようにおかずを巻いて食べるためのもの。なかなか知る機会のないベトナム料理ですが、まだまだいろんな料理がありそうですね。
ベトナムの揚げ春巻きを作ってみよう
さて、ここまで調べたら、ベトナムの揚げ春巻きが食べたくなってきますよね?早速レシピをご紹介します。
ベトナム揚げ春巻きの作り方
<材料(10個分)>
【タネ】
・ライスペーパー……………………………5枚
・豚ひき肉……………………………………100g
・海老…………………………………………50g
・人参…………………………………………30g
・玉ねぎ………………………………………30g
・春雨…………………………………………20g
・乾燥きくらげ………………………………4g
・卵……………………………………………1個
・塩……………………………………小さじ1/2
・鶏がらスープの素……………………小さじ1
【タレ】
・ヌックマム(ナンプラーで代用)…大さじ1
・レモン汁………………………………大さじ1
・砂糖……………………………………小さじ1
【お好みで】
サニーレタスや香菜など
【下準備】
・きくらげはたっぷりの水で15~20分もどす。
・タレの材料は全て混ぜ合わせておく。
・ライスペーパーは半分に切る
1,海老、人参、玉ねぎ、きくらげは粗みじん切りにする
2,1と残りのタネの材料を一つの材料に全て入れ、肉に粘り気が出るまで手で合わせる。
3,ライスペーパーが入るくらいの皿に水を張り、ライスペーパーをくぐらせてまな板などの台の上にのせる。
4、中央よりやや手前側に肉ダネをのせ、手前・左右の順にライスペーパーを折りたたみ、奥にぐるりと丸める。
5、フライパンに2cmくらいの深さになるよう油を入れて熱し、片面ずつ良い焼き色が付くまで揚げる。
6,好みでサニーレタスや香菜などと一緒に食べる
ライスペーパーの上手な扱い方
ライスペーパーを扱ったことのある人はご存じだと思いますが、扱いがとても難しいんですよね?
水にくぐらせてから時間が経ちすぎると引っ付いて巻くことができないし、早いとパリパリとして割れて巻けません。慣れるまでは、水にくぐらせたライスペーパーに肉ダネを置き、10秒ずつぐらい巻きやすい固さに戻っているか、確認しながら作業すると失敗がありません。
また、巻き終わった春巻きはクッキングペーパーの上に置いておくと、揚げる時にバットにくっついて、やぶれてしまう…ということが防げます。
作って食べた感想
さて、実際に作って食べたベトナム揚げ春巻きの感想はというと……美味しい!!!
海老の旨味と春雨やきくらげなど様々な具材の食感が楽しく、ついつい食べ進めてしまいます。また、ナンプラーとレモンで作る付けダレがアクセントとなり、暑い日にもぴったり。
ベトナムではビールの消費量が世界第9位!亜熱帯気候・モンスーン気候に属しているからか、日本と同じのど越しの良いラガーが好まれています。人気のベトナムビールの「333」や「サイゴンエクスポート」と一緒にぜひ味わいたい一品です。
まとめ
ベトナムの揚げ春巻きは海老やきくらげの具材が楽しめるビールにぴったりの料理。隣接する国や、中国・フランスの影響も受けているベトナム料理は、地理的にも様々な料理があり、春巻きだけでも3種類あります。揚げ春巻きをきっかけに、他のベトナム料理を試してみるのも楽しいですね。
(参考URL)
- https://kyujin.careerlink.asia/blog/%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0%E6%96%99%E7%90%86/
- https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol81/index.html
- https://vnembassy-jp.org/ja/%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0%E3%81%AE%E8%A6%B3%E5%85%89%E3%81%AE%E7%B4%B9%E4%BB%8B
- https://onl.sc/g7E3nkf
- https://vietbiz.jp/beer-craft-boom/
(参考文献)
※1 「初めてのベトナム料理 ふだんのごはんとおつまみ、デザート」足立由美子、伊藤忍、鈴木珠美著(株式会社柴田書店)
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